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ナショナル・シアター・ライブ「ロミオとジュリエット」のtakeのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

高圧的に娘に迫る役割をキャピュレット夫人に担わせていたり、マキューシオとベンヴォーリオがくっついていたり、ジェンダー観の反転が見られて面白かった。父よりも母による圧迫の方が恐いかもしれない。

乳母に関しても、後半ヒールになるかのようにパリスとの婚約を勧める台本だが、この作品の乳母の演じ方や表情からはジュリエットを真に慮った上での決断だと見て取れる。ジュリエットの昔話をする場面やピーターと扇を持って出る場面も乳母の滑稽さが薄くなっていたから、より乳母が知的に感じられた。

上映時間は短かったが、舞踏会の出会いの場で別撮りの2人の絡みが挟まれることで厚みを増していたように思う。他にも、ティボルトの話をする際に一瞬だけ本人を映したりするなど、短いのに濃く見えるような見せ方だった。普段のNTliveとは違う撮り方ゆえの演出だったと思う。

そして芝居が今まで観たロミジュリがおままごとに思えるほど良かった。決闘の場面や、キャピュレット夫人による縁談の緊張感が圧倒的で、次に何が起きるか本当に分からないひりつきがひしひしと感じられた。

他にも、ジュリエットが仮死の薬を飲むシーンが良かった。一人になった際の不安を閉ざされた金属の壁と暗い照明で表現し、薬を飲んで寝床につく際には亡霊のように周りに他の人間が佇む。ティボルトの視線もあることで死者と生者の境目がより曖昧になっていたように感じた。
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