雨宮はな

シンデレラの雨宮はなのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2021年製作の映画)
5.0
これぞアレンジ。これぞ実写版。
ディズニーはこの作品をみて、自分達に何が足りてないか、何が違っているのかを勉強した方がいい。

あまりにも狙ったような「突拍子もない設定」に、どうせイロモノだろうと高を括っていたら最高の裏切りにあった気分。
ポリコレ臭さはほとんどなく、強いてあげるならファビュラス・ゴッドマザーの存在くらい。
あそこはあえて白人をがっつり持ってきてほしかった気もする。それこそ、マドンナあたりを。

わかりやすいポップス曲を使うのは『ムーラン・ルージュ』を彷彿とさせるし、普段ミュージカル作品を観ない人にとても優しいつくりになっていたと思う。
歌い方やアレンジでミュージカルソングとして活きていたと思うし、そっちに引っ張り込んだイディナ・メンゼルの「マテリアル・ガール」のシーンは必見!
カミラ・カベロは上手いと思ったけど、やっぱりまだ「メッセージ性の強いポップス歌手」というイメージが抜けなかった。

「愛があればすべてうまくいく」
最後にエラが歌ったときにやっと気づいたけど、愛ってなにも恋愛だけじゃないよねと。
とくにキリスト教圏ならなおさら。
隣人愛だって、親子愛だって、愛は愛だ。
この作品でいう「愛」はつまり「思いやり」なんじゃないか。
お互いを思いやったときに理解が生まれる。
理解は寛容につながる。
そこに敬意が加われば、ラストシーンのように階級も伝統も関係なく、みんな同じフィールドで声を出して騒ぐことができるようになるんだと思う。
雨宮はな

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