都部

キスから始まるものがたり3の都部のレビュー・感想・評価

2.3
三部作の完結編ではあるが、本作は前二作からの作劇の積み重ねを投棄した典型的な破局と取って付けたような布石に基づく未来への展望で充満しており、人間ドラマの曇りが晴れた事で生まれた風通しの良さを感じる爽やかな展開は序盤に限られている。結果として三部作で最も完成度の低い作品を生むことに見事成功していると言えるだろう。

二度あることは三度あるとばかりに学生恋愛の失敗と変化を繰り広げる作風は変わらず、しかしながら3度目ともなると登場人物たちの非合理的な学ばない態度には苛苛させられ、この驚くべきほどの『学ばなさ』は三部作の完結編の味わいとして相応しいとは思えない。

しかし物語中盤を契機として、性愛感情で物を考えていたエルが自分の人生を見つめ直す流れはようやくかという気持ちもあり、良い思い出として三年間の幕を閉じる展開には一定の収まりの良さを感じずにはいられないのではないだろうか。いや感じねぇよ。彼女の進路として用意された結末は本作で急遽提示された布石に従う物で、シリーズ作品としての前提の妙をまるで感じさせない信じ難い選択である。このバカ女がよ。

エルとノアの学ばない関係性に連なる形でリーの交際関係にも変化が齎されるのだが、これに関しても前二作で積み立てたドラマを無視するもので有り得ないし、場当たり的としか思えない展開は学生気分として正しいのかもしれないが、さして面白くもないドラマしか生まれていないので不満点ばかりが募っていく。なに良い顔で終わろうとしてんだよ。

全体的に三部作で繰り広げた内容を120分に圧縮するくらいが丁度良い映画のようで、ティーンズラブコメディのあるあるを詰め込んだ映画としては資料価値が高い……でも参考にすべき作品でもっと面白いのは数あるのでそういう面でも取り立ててて評価するような作品ではなかったです。
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