ねぎおSTOPWAR

境界線のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

境界線(2017年製作の映画)
3.9
EU Filmdays 2021で拝見しました。
スロヴァキア=ウクライナ共同製作のスロヴァキア映画。
スロヴァキアはかつてのチェコ=スロヴァキアのそれ。
つまりチェコの東。
チェコの南に位置するオーストリアとも接し、
北にポーランド、南にハンガリー、そして東にウクライナと接する国。

     | ポーランド
ーーーーーーー|
   チェコ |ーーーーーーー |
ーーーーーーー| スロヴァキア | ウクライナ
オーストリア |ーーーーーーーー|
       | ハンガリー

って感じ。
で、スロヴァキアって東欧勢では唯一ユーロに参加している国。
上記中、オーストリアとスロヴァキアのみユーロ圏。

映画は、2009年にユーロ圏となる時期の、スロヴァキア/ウクライナ国境を描いています。
面白いっす!

ただね、さすがに隣国との関係性や、当時の状況など不勉強だったために、一回の鑑賞では細かいところが把握しきれず!!極めて残念です!!

基本的にはこのスロヴァキア/ウクライナ国境を股にかけて、たばこの密輸で暮らしている人々がいるんです。アダムが率いるギャングファミリー。本業はしがない採石業。時折の指令でたばこを製造して密輸します。
警察に裏金を渡すことでかなり自由になんでも出来ちゃう。
そんなある日、さらに金を稼ぎたかった仲間が、密輸のバンにヤクを隠して運ぼうとするも、それが見つかってしまう。それを裏で指示していたのは元締めのボス・・・。
そのボスはアダムがヤクを扱うことを嫌がっているのに、「お前はパチーノかっ!!」ってくらいの横暴。無理難題を与えられどんどん追い詰められるアダム。

****

このアダム、かなりの太っ腹です。
さすがファミリーの長!
家族にも様々なことが巻き起こるんですが、タフな男。

おそらくウクライナからスロヴァキアに不法移民を引き込んで、オーストリアにさらに不法に送り込むビジネスがあるんでしょうね。
ユーロ圏に入ることイコール国境が厳重になるという事実が映画のひとつのKEYになるんです。

ネタバレしても構わない! という人は以下続きをどうぞ!









アダムは、自分の長女と結婚した、つまり義理の息子をボスの仕掛けた罠で殺されてしまいます。さらに諸々のことを理由に、奥さんは子供たちを連れて出ていくと。そしてボスとも知り合いの母親は息子を救おうとボスを訪ねますがボスは母を惨殺。
上記の罠とは、不法移民を国境越えさせろいうもの。アダムの一番の仲間を金で釣るのですが、しかしいないはずの警察がそこに・・で、ボスはその仲間も裏切ると・・その仲間はアダムを裏切った自分を許せず自殺。
さあアダムも拉致され、ボスがいつも人を殺す時に使う深い池に連れてこられます。
重い石を付けて沈められます。
その底には母の遺体や消えた仲間たち・・。
その時、冒頭で失態をおかしたダメ親子がアダムを救います!そして逆にボスを沈めちゃう!!
・・・ユーロ圏に入ったものの、死んだ母親が言っていた「採石場は意味がある」と言っていた意味がついにわかるんです。地下通路の出口がそこに!!つまりファミリーはたばこの密輸から、不法移民の手引きを生業にしていくというラスト。基本的には産業のない地域は暮らしていくのも大変だと。・・でもだからこそスロヴァキアはユーロ圏に入ることで国の力を高め、こうした人々を豊かにしようと考えた。
結構深い背景と人々の暮らしと決断・・。

こんな映画でした。


<2021-096/36>