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ねぎお

ねぎおの感想・評価

3.9
EU Filmdays 2021で拝見しました。
スロヴァキア=ウクライナ共同製作のスロヴァキア映画。
スロヴァキアはかつてのチェコ=スロヴァキアのそれ。
つまりチェコの東。
チェコの南に位置するオーストリアとも接し、
北にポーランド、南にハンガリー、そして東にウクライナと接する国。

     | ポーランド
ーーーーーーー|
   チェコ |ーーーーーーー |
ーーーーーーー| スロヴァキア | ウクライナ
オーストリア |ーーーーーーーー|
       | ハンガリー

って感じ。
で、スロヴァキアって東欧勢では唯一ユーロに参加している国。
上記中、オーストリアとスロヴァキアのみユーロ圏。

映画は、2009年にユーロ圏となる時期の、スロヴァキア/ウクライナ国境を描いています。
面白いっす!

ただね、さすがに隣国との関係性や、当時の状況など不勉強だったために、一回の鑑賞では細かいところが把握しきれず!!極めて残念です!!

基本的にはこのスロヴァキア/ウクライナ国境を股にかけて、たばこの密輸で暮らしている人々がいるんです。アダムが率いるギャングファミリー。本業はしがない採石業。時折の指令でたばこを製造して密輸します。
警察に裏金を渡すことでかなり自由になんでも出来ちゃう。
そんなある日、さらに金を稼ぎたかった仲間が、密輸のバンにヤクを隠して運ぼうとするも、それが見つかってしまう。それを裏で指示していたのは元締めのボス・・・。
そのボスはアダムがヤクを扱うことを嫌がっているのに、「お前はパチーノかっ!!」ってくらいの横暴。無理難題を与えられどんどん追い詰められるアダム。

****

このアダム、かなりの太っ腹です。
さすがファミリーの長!
家族にも様々なことが巻き起こるんですが、タフな男。

おそらくウクライナからスロヴァキアに不法移民を引き込んで、オーストリアにさらに不法に送り込むビジネスがあるんでしょうね。
ユーロ圏に入ることイコール国境が厳重になるという事実が映画のひとつのKEYになるんです。

ネタバレしても構わない! という人は以下続きをどうぞ!









アダムは、自分の長女と結婚した、つまり義理の息子をボスの仕掛けた罠で殺されてしまいます。さらに諸々のことを理由に、奥さんは子供たちを連れて出ていくと。そしてボスとも知り合いの母親は息子を救おうとボスを訪ねますがボスは母を惨殺。
上記の罠とは、不法移民を国境越えさせろいうもの。アダムの一番の仲間を金で釣るのですが、しかしいないはずの警察がそこに・・で、ボスはその仲間も裏切ると・・その仲間はアダムを裏切った自分を許せず自殺。
さあアダムも拉致され、ボスがいつも人を殺す時に使う深い池に連れてこられます。
重い石を付けて沈められます。
その底には母の遺体や消えた仲間たち・・。
その時、冒頭で失態をおかしたダメ親子がアダムを救います!そして逆にボスを沈めちゃう!!
・・・ユーロ圏に入ったものの、死んだ母親が言っていた「採石場は意味がある」と言っていた意味がついにわかるんです。地下通路の出口がそこに!!つまりファミリーはたばこの密輸から、不法移民の手引きを生業にしていくというラスト。基本的には産業のない地域は暮らしていくのも大変だと。・・でもだからこそスロヴァキアはユーロ圏に入ることで国の力を高め、こうした人々を豊かにしようと考えた。
結構深い背景と人々の暮らしと決断・・。

こんな映画でした。


<2021-096/36>
え

えの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

スロヴァキアの知識はないに等しく、、家庭や結婚式、葬式、監獄の様子など興味深かった

森という空間の使い方
音楽に乗せられるストーリー展開
レコード、母と子の時間、父の不在
消されていく者たちがいる
残された者の空間、空洞が強調されるような画が印象的
誰も根本にあるのは家族のような
犠牲者を出してもなお形を変えながらすり抜けながら続いていく、本物の悪はどこに、?
☑️『境界線』及び『スマグリング·ヘンドリクス』▶️▶️
EU作品特集は、こちらが不勉強な、複雑な国境とその意味合い、の変化についても、興味深く、伝えてもくれる、その2本。
『境界線』。ここで云われる、シェンゲン圏にはいり、これまでの人とブツ(タバコ)の密入国は出来ない、欧州圏の国境と権威を守る道へ、というのはスロバキアのEU加盟に基づく事を云ってて、それでも、主人公の母親の会話でも出てきた、粛正も堂々と行える石灰岩の地で、以前と変わらず隠しルートの密入国は続いてる、というラストなのだろうが、実は国を股がる犯罪グループと癒着警察の軋轢·交錯手入れや消し合い、の関係図がうまく描けない。しかし、これがクストリッツァとコッポラの掛け合わされた、音楽と図柄の、歴史と現代を引き受けた、殆ど傑作に近い、分厚く美しく歪んだ作品である事は分かる。最初から美しいが、後半は印象的図が頻発する。射たれる署長の膝まづいた姿だけ見える巨木ごしの図が横移動すると·射つ筈の主人公はいない、主人公の背後の窓ごしに(相方のボスの)首吊り姿が見える、婿になる筈だった男の棺運びを追ってく真俯瞰図、墓地の葬式を低く退いた図は地面を縦横に走る縁石の配置を押さえてる、大Lの石灰岩地の巨大池上の小さく人の列、カーテンから射し込む淡い風と光の美しさ、落ち込む主人公に過去とオリジンを語る母、ら(前後したが)。全体にも、色やトーンを緑or茶系に鈍く沈め、各人反応や撃ち込みカット·フォローぐんぐん·速いパンや移動で思わぬ視界·出入りとやり取り絡めたどんでんと退き寄り·らのスピーディさ、大L(俯瞰)や縦図·キッシ切返し·いつしか縦横移動の重厚さ、水中半死らのイメージ、民族的で強固現代的音楽力らが、隙なく埋め込まれてて、かつ余裕がある。
「(家族らを守り抜く筈が)全てを自ら壊した? お前は私と同じで、(本来的に)強い。お前の父は、威張るだけで、決定も行動も何も出来ず、弱かった。お前への暴力に、いたたまれず私が殺し、埋めた。お前はそれを、黙り隠し続けてくれた」/「こちらが何より大事にするのは線。それは細くとも、差異を選り分け、排除する」「いや、大事なものを譲る。石灰岩の地。国境封鎖後に価値が分かる」「何を云ってる」
国境挟むスロバキア·ウクライナの、各·家長的家族主義+犯罪組織と、警察機構の古くからの癒着と、国境封鎖新体制間近と新犯罪組織台頭、そして旧いベースの見え隠れとこっそり残存。
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『スマグリング~』。不勉強な私は、キプロスの問題についても殆ど知らない。ギリシャートルコの永年の軋轢がこんなに歪んだ形で、未だに尾をひいてるとは。そもそも本作は、若いのにサイレント映画に詳しく収拾に余念かない(、『ジュデックス』や『鉄路の白薔薇』が映画史上の最高作の位置を占める、辺りでは私も同意見だが、基本かなり観方は違ってる。が、一貫した筋の通り方は一目を置かざるを得ない)人が、今回の催して傑出した2本の内の一本としてて、もう一本は仕事とかち合って観れなかったが、此方は何とか。が、見終わっての
インパクトはいまいち。様々なキャラクター、複雑な入りくんだ環境、それらが本質の繋がる人の良さの共通に絡め上げられ~見てて抵抗できぬワンちゃんキャラがドッキング·増幅~、ローや仰角·L·丹念な90°切替え、を力が張り出しつつも纏めあげ流れてく剛力の·ちと無神経タッチを、ほのぼのとした例えば『ニュー~パラ~』の感触に変えていて、好感度を稼いでる。ま、個人的には映画の魅力として、どうでもいい要素が少なくない。
しかし、正直、本作の背景の方に興味を惹かれる。キプロス島の二分体制の厳しさと可笑しさ、ギリシャ系のメイン部の北にトルコが占領し、国家としての認知もされてない無法状態、飼い犬が北に迷い込んで連れ戻さんとするも、生物の輸入厳禁で止められる、オランダ移住3日前の貧乏音楽家(生後ドイツに移るも舞い戻ってた)。彼の元の生家を住家として与えられてた、生まれも育ちもキプロス·しかし汚さから欧州へ出る夢(トルコへ強制送還か、或いはEU下のキプロス再吸収や·トルコのEU加盟を待って堂々欧州へか、まるで不安定)を持つ男を巻き込み、自分のパスポートと検問避け海から越境の船用立て交換で誘惑す。預けてる間に犬の胃袋に麻薬を飲ませハラハラの運び屋と、嘗て犬を協同で飼ってた·昔の愛着共有の元恋人も、絡ませて行きつ戻りつのハラハラ+コミカル+人間臭さ。結局、4人の努力は徒労に終わるも、この島と離れられぬものを得てく。そして、犬も独力帰還。
EUフィルムデーズにて。

監督は以前東京国際映画祭で観た「ザ・ティーチャー」出演、今年公開「アウシュヴィッツ・レポート」監督のベテル・バビヤークだった。

派手さはないが地味にハラハラなクライムスリラー、タバコ密輸ギャングがとあることから歯車狂いピンチに追い詰められるというやつ。
スロバキアがシェンゲン協定に加盟する前という時期と場所ならではの事象をうまくストーリーに取り込んだなあという感じ。

スロバキアだけでなく、ウクライナ、オーストリアなど近隣国もポイント。

タイトルにもなっている「境界線」、追い込まれて越えてしまう一線、国境、シェンゲン域の境界線…いくつもの意味があるね。
hibiya1975

hibiya1975の感想・評価

3.5
EUフィルムデーズ 2021

家族を守る父であって街の仲間をも纏めるアダムは違法国境超えの稼ぎを仕切る裏街道まっしぐらの漢。
展開、描写はダーク極まりなく、明るい話題のこれっぽっちも無いストーリーのになぜかホームドラマを見ている錯覚に陥った。
突然映り込む巨大なレーニンの顔像がその後を暗示していた。アダムの顔にそういえば似ていた。

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