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クライム・ゲームのペインのレビュー・感想・評価

クライム・ゲーム(2021年製作の映画)
4.3
ベニチオ・デル・トロ、ドン・チードル、マット・デイモン、レイ・リオッタ、ジョン・ハム…と痺れまくる超豪華メンツを従え、ソダーバーグがニコラス・レイ的50年代クライム映画の解体と再構築に挑む!

こんなにFuc✕✕ng最高そうな映画に『クライム・ゲーム』なんていう関心を削ぐような邦題をつけ、DVDスルーなぞにしたのはどこの誰だ…とも言いたくなるかもしれないが、たしかにの本作のエド・ソロモンの脚本は才気走り過ぎなきらいはあり(私は好きですが)、色々と詰め込み過ぎていて普段あまり映画を観ないような人がいきなり手に取って観たら流石に置いてきぼりを喰らうかもわからない。

ただしかし、このfilmaraksを日々更新しチェックしているそこのあなたであれば大丈夫!と断言したい。本作の憎たらしいほどスタイリッシュでレトロで映画的としか言い様のない語り口にクラクラ多幸感を覚えるはず。良い歳の映画野獣たち(※スタッフ、キャスト一同)が揃いも揃ってノリノリでふざけながら作っているバイブスも感じられるはず。

本作は『オーシャンズ~』シリーズや『アウト・オブ・サイト』に連なるソダバ監督お得意のケイパー映画里帰り作であるが、それらの当時の作品よりも格段と落ち着き払ったオトナな映画にもなっている←(趣味性と社会性を鮮やかに交差させるソダバ監督の手腕向上⤴️)。また、わざわざ50年代の古いアナモルフィックレンズを使って当時のワイドスクリーンの歪みを強調した画作りも笑っちゃうが最高(笑)

『ローガン・ラッキー』こそややパッとしない作品だったが、『サイド・エフェクト』『恋するリベラーチェ』辺りの2010年代からの快進撃が凄まじく、特に私のイチオシはこれまた劇場未公開DVDスルーの『アンセイン~狂気の真実~』。『ファースト・マン』のクレア・フォイが主演を務めており、ロマン・ポランスキーの傑作『反撥』的な神経症スリラーの解体と再構築をしてみせた逸品。

私の昨年のベスト3は、
『Hand of God 神の手が触れた日』、『ビーチ・バム』、そして本作『クライム・ゲーム』。
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