のどあめ

裁かるゝジャンヌののどあめのネタバレレビュー・内容・結末

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

昔のキネマ旬報のオールタイム・ベストのランキングにあったため観てみた。

まず、冒頭の説明から、ジャンヌをそれまでの「英雄」や「聖女」像ではなく「一人の女性」として描くというように明言されるが、そこから始まる映像は正直異様。

まず全体を通してだが顔のアップ、表情のみで進行し、引いた画がほぼ無い。憎たらしい審問官の表情、ジャンヌ(ルネ・ファルコッティ)のどう考えても「イッて」しまっている「顔」「目」の圧力が凄い(褒めている)。
ただ、
1:20:00辺りクライマックスからの画は、それまでと違ってたカット数が増え、多様な構図のバリエーションが連打される。速度も上がる。民衆。足のアップ。授乳。空と鳥。
Cristina García Rodero の写真のようなカットが続く。


すごい映画ではあったという感想だが、観て面白いという類のものではない。ぶっちゃけ苦痛である。そしてやはり、冒頭の趣旨とは乖離した演出というか画面が続くことが気になった。ジャンヌの「聖性」を取り除こうとするのは図らずも審問官と同じ立場であるが(その意図は違えど)、映画の主観はそれを拒むジャンヌにあるために、「聖性」ではなく「一人の女性」を描くことはかなり難しいとは感じる。
確かに、信仰の揺れや、死への恐れを含んだ煩悶も描かれ、聖性を取り除かれた「死体」を何度も映してもいる。
ただ、最後はどうしても「聖性」が強調されているように見える。

趣旨など無視して観ればいいのだが、この異様さは処理が難しい。
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