教授

ONODA 一万夜を越えての教授のネタバレレビュー・内容・結末

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

パンフレットが読みたい!!!
なぜないの…こうなれば自力で、小野田さんの自伝『たった一人の30年戦争』をまずは読むしか。そう促されているのか。なるほど。

実在の人物に対して不謹慎だが「終戦後も島でひとり作戦行動を30年続けた日本兵」という題材がもう面白い。
圧倒的な異質感を放つポスタービジュアルに惹かれないわけがない。

とはいえ3時間の長尺、フランス映画…いかがなものかと構えて行ったが、とても沁みた。

小野田さんが上司の命令を求めて泣き崩れるシーンは涙を禁じ得なかった。
「何年経とうとも」その言葉に縛られ続けた。
御守りのようでもあったのかもしれないが、30年経ってもなおすぐ隣に立ち続ける谷口少佐。
もう終戦していることも、自分の任務なんてもうないことも、本当はもうわかっていたと思う。
それでも断ち切れない忠誠心という名の鎖。
その場で膝をつき命令を求め泣き崩れる小野田さん。
あまりにも。あまりにも。

なんとか少佐が島へ来てくれて、本当によかった。
迎えのヘリに乗る前、外人に敬礼されたときの表情が印象的だった。
にわかに信じられないような、まだ敬礼を返すことはできない目の前の光景。少しの会釈。

仲間をすべて失い、たった一人になった小野田さんの行動が傷ましかった。
たった一人で戦争を続け、故人を想うだけ。
とても切なかった。
小野田さんの戦争は本当に長かったけれど、終わってよかった。
先に生還した赤津さん。彼も生き延びたからこそ、小野田さんの生還にも繋がった。
生きていれば、希望はつながる。
小野田さんの場合、その道のりはあまりにも孤独で過酷だったけれど。
そう思う映画でした。
戦争はよくない。
それはそれとして、小野田さんのことは、日本人なら知っていてほしい。
遅くなってごめんなさい。
お疲れ様でした。

観賞後、カフェオレとサンドイッチを頂きながらこの感想を書きました。
私が小野田さんなら、30年こんな食事はできなかったわけか。
教授

教授