もも

手紙と線路と小さな奇跡のもものネタバレレビュー・内容・結末

手紙と線路と小さな奇跡(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

前知識&ネタバレなしでの視聴を絶対おすすめします。
視聴後すぐに「両元駅」を検索したくなると思います。

私は韓国に行ったことがないしドラマではソウルに暮らしている(設定の)人たちを見ることが多く、自分自身も交通手段に困らない便利なところに住んでいるので、視聴開始直後から衝撃。

毎日の登下校だけで5時間かけて歩くんですよ。びっくりです。これそんなに昔の話じゃないんですよ。歩くしか移動手段がないから。

しかも道路がない。道路がないから歩くところは汽車が走る線路の上で長いトンネルが3つ陸橋も3つある。

本数は少ないとはいえ、時刻表に書いてあるのは客車だけなので、貨物列車がいつ来るかが分からずトンネルに入る前はレールに耳をつけて振動を確認。

陸橋を歩いている時に列車が来たら、線路脇に設置してある小さい避難スペースに一目散に走り込んでやり過ごすという、毎日、学校に行くだけで命懸けという信じられないところで暮らしているんです。

上手く書けないので作品を見てみてほしいです。

主人公が「毎年亡くなる人がいるので駅を作ってください」と小さい頃から大統領宛に手紙を書き続けているのを見て胸がぎゅっとなりました。

村の人たちは日々危険と隣り合わせなのに明るくてお互い助け合ってたくましく生きているし、悲壮感はないので自分たちで駅を作る過程、駅の完成からその後まで見届けてほしいです。

主人公のジュンギョン(パク・ジョンミン)と学校の女神ラヒ(ユナ)が制服姿でも最初は全く高校生に見えない謎キャスティング。

でもすぐ2人の演技力で気にならなくなります。方言を話し元気いっぱいのユナが新鮮だったし、ユナの存在で暗い映画にならなくて良かったと思います。

私の大好き『未生』のオ課長ことイ・ソンミンが主人公の父だけど、この映画では全く笑わない寡黙な機関士です。

中盤以降から怒涛の展開でイ・ソンミン節が炸裂。笑ったり泣いたりで心が揺さぶられて嗚咽するほど泣いてしまいました。

『パラサイト 半地下の家族』のような有名な作品ではないけど隠れた名作だと思います。見てよかったです。
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