ソーシャルメディアは、真実を歪める。ソーシャルメディアによって深まる溝がある。打ち砕かれる絆がある。そして、心から探し求める人に、ソーシャルメディアは会わせてくれない。
母国イランへ帰ったファルハーディ監督が、今回言いたいことはどうやらそんなところだと思われる。実際のところ、今までの監督作品と同じく、カルシウム欠乏ぎみの登場人物たちによる罵倒合戦。戦いの火種は、「カネ」である。
たとえ家族や愛する人を守るためであっても、自分自身の面子を保つためであったとしても、手を出しちゃうからややこしいことになる。狙いすぎなほどキマったラストシーンを眺めながら、ウィル・スミスのことまで思い出しちゃって何とも言えないわびしい気持ちになった。