都落ちから再起を図るサイモン・レックスの自己中心的で無反省な行動の数々もどこか自己保身的なので破天荒にはなりきらない塩梅。修羅場の口論も居合わせた取立人たちのうんざりした態度に笑う。樹下で午睡を貪るショットがとても良くこれだけで今年のベストに入れようと思った。
サイモン・レックスの帰る家がどんどん無くなっていく。豪邸はショットガンで追い立てられ、ブリー・エルロッドの家も当然ながら最後には追い出され、都市としてのLAには帰還可能だが当初の目論見の再起の道は潰え(道路の封鎖という象徴的出来事)、それでもやっぱりあの家に向かう。
ドーナツの穴を開ける際にできる球状の菓子を冗談めかしてドーナツホールと呼んでいたが、追放/逃走を繰り返すサイモン・レックスは明らかにこの菓子に準えられていて、窓からの脱出でそれはあからさまになる(思えば執拗にドアから出入りする人物)。アメリカ映画的「帰郷」の変奏としての「追放」。
タイトルは監督曰く雄犬のペニスを表すスラング。勃起したチンコのことだと思ってた。
