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ニトラム/NITRAMのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
3.5
1996年4月28日、タスマニア島の観光地ポートアーサーで、死者35人、負傷者15人というオーストラリア史上最悪の無差別銃乱射事件(「ポートアーサー事件」)が起こる。
犯人は、当時28歳の青年マーティン・ブライアント。
彼が事件に至るまでの過程を描いた実録ドラマ。
監督は、ジャスティン・カーゼル。
カンヌ国際映画祭男優賞受賞。
原題:Nitram (2021)

子どものころから精神が不安定で、周囲とトラブルを起こし、名前を逆さ読みにしたNITRAM/ニトラムという蔑称で呼ばれいじめられてきたMARTIN/マーティン(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)。
父親(アンソニー・ラパリア)は、息子を必要以上に助けて父親らしい育児が出来ない。
一方、母親(ジュディ・デイヴィス)は、その分ストレスを抱え、"普通”の身なりや行動をするよう厳しく追い詰める。
サーフィンに憧れるマーティンは、ボードを買うために始めた芝刈りのバイトが縁で、元女優で犬を何匹も飼っている孤独な金持ちの中年女性ヘレン(エッシー・デイヴィス)と出会い、同居を始める。
ところが、ヘレンは車を運転中、助手席にいたマーティンがちょっかい出したせいで、ハンドルを取られ事故死する。
彼は、ヘレンが居眠りしていたと警察に嘘をつくが、ヘレンは50万ドルと屋敷など全財産をマーティンに遺していた。
マーティンの父親は、念願だった商売用B&B(宿泊施設)の購入資金ができて喜んだが、不動産屋が、より高額な購入金額を提示した別の買い手と契約したため、ショックを受けて自殺する。
やがて、スコットランドの小学校で銃乱射事件がおき、マーティンはそれに触発される。
無免許にもかかわらず、銃器店でショットガンや銃を購入し…。

「もう花火で遊びませんか?
また遊ぶ」

「私の苦悩を笑ってた。最高に面白そうにね」

「この日の一件を機に、オーストラリアの銃の規制の見直しが求められ、事件の12日後、全州が銃規制法に合意。…しかし、この法律はどの州においても完全には順守されていない。現在、オーストラリアでは、1996年よりも多くの銃が所持されている」

この映画には殺戮シーンがないが、それでもとても重苦しい。
ニトラムが抱えていた精神疾患については具体的な描写はないのでわからない。
事件の要因はたくさんあるだろう。
対策として銃規制の強化はもちろん必要だが、精神疾患を抱えている人をどうやって日常生活の中で治療していくかが一番大事で、一番難しい…。
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