Omizu

MEMORIA メモリアのOmizuのレビュー・感想・評価

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)
4.5
【第74回カンヌ国際映画祭 審査員賞】
『ブンミおじさんの森』のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作品。

すげぇ、何も分からない。でもなんかスゴいということだけは分かった。

ティルダ・スウィントン演じるジェシカが耳にする謎の音は何なのか、音響技師のエルナンと鱗取り職人のエルナンは同一人物なのか、そもそもジェシカは何者なのか、何も説明されない。

ジェシカが聴く音は都市伝説の「終末の音(Apocalyptic Sounds)」のようだ。それが直接何を意味するのかは分からないが、ジェシカはコロンビアの悲惨な過去、そして未来の音に文字通り耳を傾ける。ジェシカは全ての時間軸を繋ぐ「アンテナ」なのだろうか。

東南アジア映画は森に依存する傾向が強いと思っているが、アピチャッピンは森を排除し、英語圏の俳優を使ってもこれだけ独自の世界観を提示できるのかと感嘆した。

未知の音に耳を傾け、悠久の時間に思いを馳せる。そんな壮大で自由な発想でつくられ、観客を魅了する驚くべき作品。今年ベスト級の傑作。
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