【第88回アカデミー賞 外国語映画賞ショートリスト選出】
ドイツのジュリオ・リッチャレッリ監督作品。ドイツ映画賞で作品賞など全4部門にノミネート、アカデミー外国語映画賞ドイツ代表に選出されショートリストに残った。
素晴らしい作品。アウシュヴィッツ収容所での罪を裁くアウシュヴィッツ裁判までの道のりを若い検事を主人公に描いている。
戦争が終わって何年も経っているのにアウシュヴィッツのことを誰も知らない。そんな状況で周りの脅迫、圧力に負けずに裁判までこぎ着ける。その困難さに胸を打たれる。
サクサクと進んでいく展開力もよく、若手検事の苦悩や葛藤という内面まで描きこんでいる。ドイツの歴史の転換点となったアウシュヴィッツ裁判の裏側を過不足なく描いた秀作と言えるだろう。
戦争犯罪人が教師やパン屋などごく普通の顔で暮らしている。そんな状況が許せないラドマン、正義とは何かという大きな問いを抱えつつ裁判に挑む。これだけでもうアツい。
この裁判を機にナチスが一掃されたという。悩みつつも世紀の裁判に挑んだ検事たちに心から共感した。
映画として正攻法によく出来ており、実話ものとしても若者の苦悩を描いたパーソナルな作品としてもドキドキしながら観ることが出来た。非常に面白く意義深い作品。