えにし

パリ13区のえにしのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
3.9
ルーシー・チャン、NMIXXのリリーに似てるな…とか序盤はしょうもないこと考えながら観ていたんだけど、結果的にはかなり好きな映画だった。音楽以外は。主人公は明確に設定されていないし、あえて言うなら「パリ13区」そのものが主役なのだろうが、俺にはノラ(ノエミ・メルラン)がひときわ輝いて見えた。人は自分でつくりだしたペルソナに足を掬われることもあれば、そのペルソナに心を救われることもある。ノラが疑似的なペルソナと出会い辿る運命がまさにそれだった。あのラスト一歩手前のあまりにも美しいキスシーンが、そんなありふれた奇跡を象徴しているような気がしたから。きっと製作陣が意図しているようなみかたではないけど、とにかくそう思ってしまったから仕方がない。すなわち「もう一人の自分」についての映画だと思った。だから好き。だからこそ上述したようにシンセがファ〜って感じの劇伴でなければ…と思ってしまった。これは好みでしかないから仕方ない。あのキスシーンほんとうに良かったな…。「溶け合う」って感じで。
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