ヨアキム・トリアー監督は過去に「母の残像」で心震える素晴らしい放尿シーンを撮っているが、本作でも恋の始まりを印象付けるポイントとして排尿する場面が魅力的に描かれている。すごい。他にも脇の匂いを嗅いだり、吐いた煙を吸い込んだり。生理現象レベルで惹かれ合うってこういうことだろ?と言わんばかりに。そんな描写で、うしろめたさもだらしなさも愛おしさも全部生々しく見せる第2章が特に素晴らしかった。
ユリヤは自分の気持ちに正直に選択し、間違い、傷つけ、それでも一生懸命に生きている。それを肯定も否定もせず、様々なカメラワークや、時に魔法のような演出で映す。第5章でオスロの街を一人ひたすら走る場面なんかもう最高だ。
主演レナーテ・レインスベの、演技に見えないリアルな表情や所作も良かった。