このレビューはネタバレを含みます
時代設定は90年代後半のロシア。ロシアの都会の賑わしい人付き合いの中に取り残される乾いた孤独、テクノ音楽の時代感に染みる人恋しさがそこにあった。北欧映画特有の雪に沈んだ暗い光や台詞の少なさを補って余りある列車内の音、レールの音、風の音など、背景の音など一つ一つ環境音が終始心地良い。心が苦しい時こういった映像をボーッと眺めるだけでも救われる事もあるんだと思い出したりもした。また王道のロードムービーとは異なり出立時とは違う自分で帰ってくる(旅に出て→旅先で何か変化が起きて→帰ってきたときにその変化が際立つ)という構造ではなく旅先で物語が終わりを遂げるのが新鮮だった