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フラッグ・デイ 父を想う日のせっのレビュー・感想・評価

4.0

父親が偽札製造の犯人だったジャーナリストである主人公の父との思い出と辛い青春期を描いた話。

小さい時は何も知らない子供にとってはたまに家に帰ってきて精一杯楽しいことをしてくれる英雄のように見えた父親だったけど、その実態はホラ吹きまくって未来を長いスパンで考えられないその場しのぎで生きることしか出来ない一人の男だった。

主人公にとって幼い頃の父との記憶が良いものがほとんどなのは圧倒的に過ごした時間が少ないからだと思った。叔父さんとか友達の親って見ててこういう人が自分の親なら良いのにって思うことない?(私は常に思ってたよ)それと同じで、よそ行きの顔が暴かれない程度にしか結局は関わり合っていなかったから。それなのに父親のとこ出ていかれてお母さんも可哀想よ。

そしてフラッグデーというのもまたアメリカ国旗だからより切ない感じがする。アメリカ国旗のイメージって「偉大」「英雄」「勝利」のような完全にプラスの開かれたイメージが強い。まさに"great Ameria"な訳だけど、それを祝う日が自分も祝われる日(誕生日)なのに自分は偉大な英雄じゃないことが、よりお父ちゃんのコンプレックスを強めてるんだろうなぁ。

その反面、このお父ちゃん、日本国旗は似合いません?(笑)アメリカ国旗がすごく笑顔で掲げられるとしたら、日本国旗は背筋が2,3倍ピシッとなって真面目な顔になるイメージ。それもどこかに「哀愁」みたいな印象を日の丸には感じるからなぁ。元々軍事国家の時は太陽の光がキラキラしてたのにそれを奪われて、シュンッとしてる感じ。

ごちゃごちゃ言って何が言いたかったかというと、自由の国とはいえ敗者にとっては居心地の悪い国なのかなぁという感想です。まぁこの自己管理能力の低さは精神科に見てもらう必要あるレベルだったのかなとも思うね。

主人公の父への複雑な気持ちは、自分も父と娘の関係について永遠に探究してるからこういう映画を絶対見に行っちゃうとこもあるので、ちょっと共感した。
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