願い事が叶う人形を死に物狂いで手に入れようとする人たちと、そういう人をローテンションで見つめる地味で無欲な女性の話。
テーマは面白いがパンチがない。お湯切る前にソース入れちゃった一平ちゃんみたいに薄味。
その薄味の中に漂う素材の味を見つけられるか否かに、観る側の人間レベルが関わってきます。
ぼくぁピンと来ましたよ。
皆さんとは違うんです。
同窓会で久々に出会った男に『将来二人とも独身だったらその時は結婚しよう、って話覚えてる?俺は結婚してるけど。』って聞かれた時の主人公の表情の微弱な変化はたまらなかったです。
さながら心電図モニターを睨み続ける医者の気分でした。
これはバツイチのぼくに対して、家族が増えました的年賀状を送るのとは似て非なる攻撃です。
いや、年賀状も年賀状で悪質ですよ。
こっちは減ったからプラマイゼロだねってならんからね。
しかし毎年予想ができるので、送ってきそうな連中に対しては9月あたりに親戚死んだことにしたり、ハワイで年越してることにしたりと、なんとかなるものです。
これに対して同窓会の件はちょっとした通り魔です。
対策のしようがありません。
主人公の笑うでも悲しむでもない奇妙な笑顔に共感できて初めて真の陰キャといえるのでしょう。
あと町のチンピラの滑舌と声量が素晴らしく、主人公の声が掻き消されるので空気読めって思った。