みんと

ローラとふたりの兄のみんとのレビュー・感想・評価

ローラとふたりの兄(2018年製作の映画)
3.8
なんだか可愛い作品だった。
シンプルに心がポッと温かくなる良作。

薄っぺらい安易なストーリー?
微妙にツボがズレてて笑えないコメディ?と、若干のつまらなさも抱え、ちょっと斜に構えて観てた序盤。

いやいやどんどん良くなる。笑いのツボが合ってくる。楽しい。優しい。切ない。

ローラと2人の兄、毎月3人で両親のお墓参りでのエピソードがツボ。
眼鏡士ブノワのとぼけた眼鏡選びがツボ。
解体業者ピエールの、これまたとぼけた同僚とのやり取りもツボ。
と、つまりはツボだらけ。

三人三様のロマンスの部分もそれぞれ楽しい。怒りを買って家出したポールの若妻が前妻2人と会ってるシーンなんて、さすがフランス!何気にシュールなスリーショットだった。笑

ヴァンサン・カッセルを随分マイルドに骨太にしたようなローラの恋人もイイ。出会いからして笑えるけど、愛情表現がチャーミングだなぁ。
マジックさながらにポケットからブーケが次々出てくるシーンがお茶目で素敵。
コレは日本男性も真似る価値ありかも?
愛する人の笑顔が見れること間違いなし!かも?笑

失業したピエールに向けたローラの恋人のセリフが面白い。

1人で抱え込んで
全て投げ出し
ホームレスになるかも
日本に多い
“蒸発する”って言うんだ
…彼寿司は好き?

この監督は親日家の監督なのかな?なんて。

“解体するより建築する方が前向きでしょ“
ビル解体と逆再生で綺麗に纏めるひねりゼロの着地の潔さも逆に良き!

とても身近で、なんて事ない家族のアレコレをドラマチックにする事なくフランス流のユーモアで包んでいく。
安易なハッピーエンドは好みじゃないし、何だったらバッドエンドを好む私も、不思議と素直に受け入れられて後味が良かった。
みんと

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