Sari

エクスパンション 拡張のSariのレビュー・感想・評価

エクスパンション 拡張(1972年製作の映画)
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ドラッグによる幻覚体験を視覚化したサイケデリック・シネマ。またはビデオアート。
素材となっている映像は少ないが、モノクロの静止画をカラーに変換させる機能を持った光学測定機を使用し、めまぐるしく色彩を変容させている。その電子的色彩の暴力的刺激によって、観客の意識や感性を拡張(トランス)していく意図で制作されているとのこと。   

制作背景:松本は、『メタスタシス=新陳代謝』(1971)を制作するにあたって、映像機器メーカーであるナックが開発した電子的な画像測定器カラー・データ・システムを、実験映画に転用することを思いつく。これは明暗のグラデーションを、10段階の濃度に応じて任意の色に置き換える機能を持った機器である。その後も松本は同機材による電子的な映像表現に取り組み、その発展形として本作を制作する。作中では素材として『エクスタシス=恍惚』と、日本万国博覧会せんい館のために松本が制作した『スペース・プロジェクション・アコ』(1970)が引用される。

音楽は、現代音楽家の一柳慧によるサイケデリック・ロックである。
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