あいうえお

春原さんのうたのあいうえおのレビュー・感想・評価

春原さんのうた(2021年製作の映画)
5.0
わからないけど、わかる。
言い当てるのではなく、想いを馳せる。
人の優しさに、そして人を想える自分の優しさに触れていくような、

カメラは目の前のことしか映さず、「映画」でなくて、人が先 にあって映画になってる。
彼らを見守り、一緒に過ごす時間。
このご時世にも、誰かを濃く想える時間。
目の前には映らない、物語の余白をも共にできる。

一瞬の表情や仕草、歩き方が長回しに映り込んで映画となるのは、一瞬を31字で切り取って時間に重みを与える短歌のようで。
何気ない一瞬の積み重ねが物語になり、今の世に生きる私たちの生活にも繋がっている。暮らしの中に創造があるのですなあ。

常に側にある水の音。一層感じる、時間の流れ。
カメラは現前した一瞬を切り取っていて、見つめるスクリーンには、物語というより時間そのものが。時が癒すもの、時の中の出来事・人の出会いを等身大で体験していくような。
それは、登場人物になりきった感情移入ではなく、私のままで想いを馳せること。
映画自体とここまで対等な立場に立って観られる映画は初めてで不思議、素敵。
あと、精鋭揃いのスタッフがやばい!さすが!
あいうえお

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