セキ

春原さんのうたのセキのレビュー・感想・評価

春原さんのうた(2021年製作の映画)
3.6
飯田橋ギンレイホールで『偶然と想像』と共に鑑賞。
一言で言うならばやはりこれも呪いの映画だと思った。ひたらすらドキュメンタリー的な視点からフラットに捉えられていく主人公の生活。夜、独りでいる孤独な時間と昼、他者との束の間の交流。
主人公のアパートのドアは常に開いていて、その奥には木々の緑が見える。そして葉は風によって微かに揺れる。主人公の叔母は「この部屋はエアコンがついてなくても涼しいね」と言う。葉を揺らした風は部屋を通っている。その時、スクリーンの前の私たちはついに気づいてしまうのだ。この部屋には何かが潜んでいる。それは誰に何をする訳ではなくじっとそこにいる。ただいるだけ。違うことを考えてしまうほど長い尺で部屋の奥からドアと景色が見えるショットが続くのには、この不在の在とでも言おうか、何か幽霊のような、呪いのようなものを映画に記録しようという、誰かしら(誰とは言わないが)の意思を感じてならない。
話自体は退屈でした。ダイハード観て寝ます。
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