ユーライ

土竜の唄 FINALのユーライのレビュー・感想・評価

土竜の唄 FINAL(2021年製作の映画)
3.5
シリーズ未見原作未読、リアリティも整合性もない物語の中で思いつきのおちゃらけ(投げやりではない)が連続していくので眩暈がするが、それこそフジテレビ的なバラエティ番組にはならずにギリギリ映画を保っている。饒舌過ぎる説明台詞とは打って変わって堤真一の傷心した姿をただ画面に捉える。各々のキャラクターが退場(死亡)していく時にいちいち見せ場を用意して「あげる」のが三池的。それは時に笑えたり悲しかったり惨かったりする。菜々緒はどう見てもギャグだが、本人的にはとても満足そうだ。鈴木亮平はあれが因果応報の形だし、猫沢には笑えない哀愁がある。オープニングで前作までのおさらいをする際に、銭湯という場を用意して寸劇調にしてしまうことで説明台詞の違和感を解消する手際、用意が済んだら扉を閉めて「おじさん達はあっちね」と言いながらまだ向こうで何かやっている、それをわざわざ映すのが好き。手作り感への執着はパペットラブシーンに見られる。いい話風に誤魔化しているけれど、堤真一のような存在は虚構でしか救えないという着地にしか思えなかったので、基本哀しいお話なんです。大杉漣がまた観られたのが良かったね。
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