ヒノモト

霧の中のヒノモトのレビュー・感想・評価

霧の中(2012年製作の映画)
3.1
JAIHO配信終了に追われるように、2日連続でセルゲイ・ロズニツァ監督作品の感想を短めに。

第2次世界大戦中、ドイツ占領下のソビエトの森の中でおきる、微妙な時間差によるボタンの掛け違いのようなものが、辛くて重苦しい運命線を辿る物語。

主人公が戦時下においてスパイのような活動をせざるを得ないことで、家族とも辛い思いをするし、ソビエト側にもロシア側からも受け入れられ難い存在として生きていくことの厳しさが延々と続くだけで、森の中のシーンが多く、映像的にも物語的にも変化が少なめで、全体的には陰鬱とした状態が続くのは、少し退屈に感じました。

ただ、処刑されるはずだった人間と処刑するはずだった人間の過去と現実は、場当たり的な討論だけむなしく残る感じで、引き合いに出すとすれば、黒澤明監督の「羅生門」のような1つの事象に対する、それぞれの立場から見る意見の食い違いの多層的な見せ方ほど、洗練されていないところがあって、物足りなさは残りました。
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