アキラナウェイ

モガディシュ 脱出までの14日間のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.8
世界はいつでも分断と衝突の繰り返し。

1990年。国連加盟を目指す韓国と北朝鮮の両国は、それぞれハン大使(キム・ユンソク)とリム大使(ホ・ジュノ)をソマリアの首都モガディシュに派遣。彼らは多数の投票権を持つアフリカ諸国へのロビー活動に奔走していた。

そんなある日、ソマリアの現政権に不満を募らせた反乱軍による内戦が勃発。各国の大使館は暴徒による略奪や焼き討ちの被害に遭う—— 。

突如響き渡る爆発音と銃撃音。
群衆の悲鳴と怒号。
いやはや、ソマリア内戦の壮絶さに絶句。

空港は封鎖され、通信網は絶たれ、
母国への逃げ道が…

 な い ! !

韓国の国民的スター、キム・ユンソクが人間味溢れる駐ソマリア韓国大使を好演。片や駐ソマリア北朝鮮大使を演じたホ・ジュノは静かながら存在感は抜群。彼らを囲む血気盛んな参事官達も良い。

啀(いが)み合っていた両国の大使同士が、やがて協力し合い、決死の脱出劇を繰り広げる。

序盤はコメディタッチを挟む余裕もあるが、中盤以降はひたすらにシリアスな展開に。

印象的だったのは、自動小銃を片手にしたソマリアの少年兵達。そして、それを見つめる北朝鮮の少年少女。同年代の子供達が紛争の最中、銃を手にしている事実を彼らはどのように受け止めたのだろう。

飛行機を手配してくれるというイタリア大使館に向かうまで、蜂の巣状態の銃撃を受けながら疾走する4台の車。このカーチェイスは生きた心地がしない。

北と南の呉越同舟。

感謝の意を述べ握手を交わすも、
母国へ帰れば互いに別々の道へ。

北朝鮮とはいまだ緊張状態にある韓国だからこそ生み出せる空気感は流石の一言。このクオリティは日本では創り出せない。