ハレルヤ

モガディシュ 脱出までの14日間のハレルヤのレビュー・感想・評価

4.1
1990年のソマリア。国連加盟を目指す韓国と北朝鮮の大使館員たち。その最中にソマリアで内戦が勃発。その壮絶な争いに巻き込まれ、両国の大使館員たちは敵対する関係を乗り越えて命がけの脱出を試みる実話を基にしたサスペンスアクション。

韓国映画だけど舞台は韓国ではなく、全編ソマリアが舞台。日本人でも言えることだけど、異国での動乱に巻き込まるほど怖いものはないと思わされる内容でした。土地勘のない場所で銃を乱射する人間がそこらじゅうにいる。電話線も切られて母国との連絡も取れず、誰を信用して良いのかわからない。自分の身に置き換えてみると、本当にお手上げ状態。

そんな苦境からの脱出を試みる韓国大使館の面々と北朝鮮の大使館メンバー。両国の敵対っぷりは本編を見てても分かるように、かなりピリピリしたもの。でもこんな状況じゃそんな事してる場合じゃない。手と手を取り合って協力してくれるイタリア大使館へ向かおうとする。

でも当然その道中は過酷を極めるもの。政府に味方しているであろう人を片っ端から処刑する残忍な反乱軍たち。一方で疑わしき者は徹底的に攻撃する政府軍。そんな両勢力に挟まれてまさに極限状態。劇中は常に緊張感が途切れない。

そしてクライマックスのカーチェイスはかなりの見応え。大勢の兵士から銃弾を撃ち込まれ、手作りバリケードだらけの車でひたすら逃げる。ラストに至るまで手に汗握る強烈なヒヤヒヤ感が味わえます。

その脱出劇に加えて、韓国と北朝鮮の国家を超えた絆。それを強く感じさせるラストシーンは感動しましたし、両国の負の歴史を改めて感じたところでした。

キム・ユンソク、ホ・ジュノをはじめとするキャスト陣も国家間で葛藤する姿。汗だくで事態打開へ奔走する姿、相手が誰であれ助けようとする姿。どれも印象的な名演技だったと思います。

ストーリー自体には多少の脚色もあるみたいですが、それでもこの熱量の高さは秀逸。骨太な一作でした。
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