MasaichiYaguchi

異動辞令は音楽隊!のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

異動辞令は音楽隊!(2022年製作の映画)
3.6
内田英治監督が阿部寛さん主演で、最前線の刑事から警察音楽隊に異動させられた男を軸に、音楽隊のキャストたちが熱い演奏シーンを吹替え無しで演じたドラマを観ていると、「人間到る処青山あり」という言葉を思い出す。
部下に厳しく、犯人逮捕の為なら手段を問わない捜査一課のベテラン刑事・成瀬司は、高齢者を狙ったアポ電強盗事件を捜査する中で、令状も取らず強引な捜査を繰り返した結果、県警幹部に睨まれ広報課内の音楽隊への異動を言い渡されてしまう。
不本意ながらも音楽隊を訪れる成瀬だったが、そこにいたのは覇気のない隊員ばかりで、益々元の部署に戻りたくなっていく。
警察組織はピラミッド型の厳しい縦社会なので、いくら成瀬が勤続30年のベテラン刑事だとしても、上司に口答えしたり、逆らうのはご法度で、ましてやチームで捜査するのが常識なのに、一匹狼的に行動していたら、いくら優秀でも“島流し”になってしまうと思う。
私も何回か警察音楽隊の演奏を生で聴いたことがあるが、映画で披露するキャストたち演奏も見事だと思う。
「音楽は心を豊かにする」と言われるが、成瀬の演奏の上達に並行するように、彼の心境や行動が変わっていく。
果たして彼は、音楽を通して自分とどう向き合っていくのか、終盤の演奏は胸熱になります。