ぶみ

マッシブ・タレントのぶみのレビュー・感想・評価

マッシブ・タレント(2022年製作の映画)
3.5
君はまだ、本当のニコラス・ケイジを知らない。

トム・ゴーミカン監督、ニコラス・ケイジ主演によるアクション・コメディ。
借金返済のため、大富豪のパーティーに出席したハリウッドスターが、CIAのスパイとして大富豪の正体を探ろうとする姿を描く。
主人公となるハリウッドスター、ニック・ケイジを本人役としてケイジ、大富豪をペドロ・パスカルが演じているほか、シャロン・ホーガン、アイク・バリンホルツ等が登場しているが、注目はケイジの娘を演じたリリー・シーンであり、彼女はマイケル・シーンとケイト・ベッキンセイルを両親に持つとのことで、コケティッシュな魅力を振り撒いている。
物語は、ケイジがスペインの大富豪ハピと映画の趣味が合ったことから意気投合するも、犯罪組織のドンという裏の顔を持つとされ、CIAのスパイとして暗躍する様が描かれるのだが、何より本作品の最大の魅力は、架空の人物とは言え、ケイジの設定が本人そのままであること。
私がスクリーンで映画を観出したのは就職した頃であり、当時『ザ・ロック』を皮切りに、『コン・エアー』『フェイス/オフ』『スネーク・アイズ』『60セカンズ』と、その時代にハリウッドスターとして第一線で活躍していたのが、まさにケイジ。
その後、低空飛行となり、B級サスペンスを中心とした出演が続き、時折佳作はあるものの、『レフト・ビハインド』のようなカルト作品や、はたまた全くもって意味不明な『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』等々にも主演と、何でもありな状態となってしまっていたのは、彼の輝いていた頃を知る身としては残念な限り。
本作品は、そこを逆手に取って、あえて自虐ネタを入れたり、過去作品が数多く登場したりと、ケイジファンとしては堪らない仕上がりとなっている。
ただ、ケイジファンじゃなくとも、物語そのものがバディ要素や、メタ構造を取り入れたしっかりしたものとなっているため、十分楽しめるのではなかろうか。
原題は『The Unbearable Weight of Massive Talent』で、直訳するならば、『大きな才能の耐え難き重み』あたりになるので、これまた自虐的。
提供や宣伝協力にフィルマークスがクレジットされていたことから、フィルマークスのケイジ推しをヒシヒシと感じることができ、スペインを舞台として繰り広げられるケイジのドタバタコメディと、本格アクションを堪能できる一作。

彼はレジェンドだぞ。
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