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戦場のピアニストのaknのネタバレレビュー・内容・結末

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

何度観ても心を動かされる作品ではあったが、原作を読んでから再度観ると、さらに主人公Szpilmanの絶望や覚悟を感じられた。

個人的にはSchindler's Listと1、2を争うくらい好きなスコア満点の映画だったが、最後のSzpilmanとHosenfeldの別れのシーンで原作から変えられている部分が気になり、.1ポイント減点した。


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※評価点数=私の個人的な好み。
(25点が普通として、50点満点。)


*ストーリー 49/50
ポーランドで有名なピアニストSzpilmanが、Nazis占領下のワルシャワで家族や友人を失い、命を落としかけながらも運良く生き延びる話。原作では、彼は自分の運の良さを信じて直感で動いたことにより、銃撃や爆撃、"selection(Naziがキャンプへ移動させる人や処分する人を選ぶこと)"を全て回避し、結果的にNaziの将校Hosenfeldに匿われ、戦争を生き延びたと書かれている。

原作では序盤から描かれているが、戦争が悪化した途中から話を始めることで、たったの2時間とは思えないほどストーリーが慎重に進められている。かと言ってテンポも全く悪くなく、最後まで飽きない。

0.1ポイントを減点したシーンは、Hosenfeldがワルシャワを去ることになり、Szpilmanに最後の食べ物とコートを渡し、別れを伝えるところ。ここで映画ではHosenfeldがSzpilmanの名前を訊くのだが、原作ではSzpilmanが勝手に名乗る。原作でのSzpilmanは、万が一捉えられ匿っていた人の名前を問いただされた時に、助けてくれたHosenfeld名前を知らない方が良いと思ったが、戦争が終わりドイツ人であるHosenfeldが逃げた時に同じように助けてあげたいと思い、「名前を訊かれていないのは分かっているが、私はPolish RadioのピアニストSzpilmanだ」と名前を告げ、別れる。ほんの少しの変化だが、私はこのSzpilmanの発言は、自分の命をかけてでもユダヤ人である自身を助けてくれた、全てのドイツ人に対する感謝の意だと思ったので、Hosenfeldが今後自分の身を守るためにSzpilmanの名を尋ねたように捉えられなくもない映画版での演出は少しだけ疑問に感じた。


*演出 50/50
ピアニストの話なので当たり前だが、クラシック音楽が随所で流れたり、ピアノを演奏しているシーンが入ったりと、ただのBGMではなく音楽もストーリーの一環のような演出で美しい。
また戦争映画にありがちな大袈裟すぎる嘆きのシーン(長すぎる)もなく、どちらかと言うと無言・無音のシーンが多いところも個人的に好み。


*役者 50/50
何もコメントすることはないくらいの素晴らしいキャスト。特に、出演時間もセリフもかなり少ないものの、Hosenfeldがどのような人物なのかを非常にうまく表現したThomas Kretschmannの存在感に驚く。


*音楽 50/50
BGMという曲はほぼなく、その代わりピアノの演奏や主人公の頭で流れている音楽が、それぞれのシーンを上手く演出している。エンドロールまでじっくりと聴き入ってしまう。



*映像 50/50
爆破や遺体など、残酷さや悲惨を表すためにアップで映されることの多い描写は少ないながらも、戦時中の様子を非常にグラフィックに映し出されている。


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