このレビューはネタバレを含みます
『戦場のピアニスト』ってタイトルだったので、戦場にいる兵士の中にピアノを弾ける人がいて、その人が奏でるピアノの音色に敵国まで感動して休戦したみたいな泣ける映画かと思ったら、全然違った。
そう。全っ然っ!!違った。
ストーリー自体が予想と違っていたけど、何より本作は、『映画を観る』とはどういうことなのか、それを教えてくれた映画だった。
本作は第二次世界大戦中のワルシャワが舞台で、ユダヤ系ポーランド人のピアニスト(主人公)が、ナチスドイツによって迫害される話。
実際、流れている映像を他人事として見てるだけなら、長くて暗いストーリーが淡々と続くだけの退屈な映画だと思う。
ただ、主人公に感情移入して観るとなると、話はまるで違ってくる。
ナチスドイツにより、仕事を奪われ、住む所と財産も奪われ、家族や友人も殺され、助けてくれた仲間も捕まり、街は壊され、残ったのは自分だけ。
感情移入しすぎて『観る』から『体験する』くらいの感覚になると、こりゃ死んだ方が楽だなって本当に思えてくる。
たった2時間半でこうなるんだから、実際6年間も続いた戦争を生き延びるなんて、肉体的にも精神的にも想像できない。
現代日本に生まれて良かったと心底思えるので、平和のありがたみを感じるためにも、せっかくならただ見るんじゃなくて、しっかり観ないといかんですわ。
あと、邦題の『戦場のピアニスト』っていうの、分からなくもないんだけど、主人公のシュピルマンは戦争に一方的に巻き込まれただけで、兵士として戦場に立ってるわけではないんだから、なんか違うんじゃないかと思った。
音楽の話はさっぱり分かりませんが、ピアノを弾くシーンがいくつかあるので、音楽を分かってると尚良いんでしょうね。