前三作とは趣き変えた、映画用脚本ベースの本格海洋アドベンチャー。
ボンドガールのモダンなファッションのゴージャスさや全面始動する巨大組織スペクターといったスケールアップが感じられ、北米やアジアを始め世界的な人気シリーズとなったのは本作から。
スペクターの会議室など過剰化する演出も一定のリアリティが保たれているのは、フレミングと実質的な原作者のマクローリーの確かな手腕であろう。
後半にかけての水中アクションのテンポの悪さは否めないし、コネリーボンド作品史上最も盛り上がりに欠けるところが欠点か。
とはいえ、本物のサメ🦈を用いたスリリングな海中シーン(撮影中のプールで敷居を超えて危うくコネリーの方へ来そうになったり)や、ボンドガールの足裏の棘を吸い取って抜いてやるボンドに一種変わったフェチズムを抱かされたりと印象深くもある作品。