ヤギ

THE MOLE(ザ・モール)のヤギのレビュー・感想・評価

THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)
4.5
想像の何倍もやばい内容だった。
北朝鮮をコケにしたドキュメンタリー作品を撮ったが故に同国を出禁になった映画監督の元に、元料理人のデンマーク人ウルリクからスパイ(MOLE=モグラ)志願のメールが届く。これは彼の10年間のスパイ活動の記録である。
北欧にいくつも北朝鮮支援団体があることも、「北朝鮮の門番」と呼ばれる男がスペイン人であることも知らなかったので、序盤だけで驚きの連続。
さらに、中盤に至ると「武器密輸」という別世界へと移行する。北朝鮮での契約や、ウガンダ、カンボジア、中国などで開かれる密談など、知らない世界のオンパレード。北朝鮮のエージェントをはじめ、ウガンダの不動産業者と政府役人、中東の石油ディーラーまで、登場人物全員が振り切れている。逆にリアル。そもそも監督も主人公ウルリクもブローカー役のジェームズも胆力が半端ではない。なにが彼らをここまでやらせるのか、人間というものの底知れなさを知った。
隣国と世界の裏側について知らないことが多すぎると思い知った一本。
この作品の大義は認めたいが、フェイクの取引のためにウガンダの島の住人数千人が追い出されてしまったのは、看過されてはいけない問題だと思った。
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