せっ

流浪の月のせっのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.2

かつて誘拐の加害者と被害者であった文と更紗が再び再会する話。

撮影監督に『パラサイト』でも撮影担当だった人がやってるのでなんとも韓国映画らしいというか、パラサイトっぽいというか。色んな小道具が意味ありげに出てくるのとか、文の家の中庭の感じとかめっちゃパラサイトだなと思った。

モチーフについては、ガラスとかキラキラしたものが文のイメージになっているっぽくて、それがコーヒー屋の1階に置いてあるグラスに更紗が惹かれてるので表されてるっぽかった。あとは傘も、最初文自身の傘を更紗に差し出してるのに対して今は恋人の傘を持ってるのもなんか意味ありげだなと思った。ただ、この2つ、だから何だ?で終わってしまったのだが(笑)

この文と更紗、ロリコンや誘拐諸々より他人とちゃんと向き合わなかったことが問題なのでは?と思った。でも母親にちゃんと自分を見て貰えなかった文と傷を抱えて孤独だった更紗、お互い初めて自分とちゃんと向き合ってくれたし自分も向き合えた他人だったのに、それはダメな事として世間から否定されたら殻に閉じ込もるしかなかったんだろうな。

でも、そうやって他人と向き合わず閉じ込もるのって結局当人達を置いてロリコンと騒ぎ立てる周囲と同じになっちゃってて、亮だって色々な問題を抱えているが故のあの行動(クソ田舎で勝手に結婚式はこっちで挙げるとか言われてて継ぐ継がないとか圧掛けられてたり)。

付き合う前にちゃんと亮と向き合っていればこの結果にはならなかったのでは?と思う。まぁでもロリコンとDVどっちが悪かって言われたら、罪犯してるDVのが完全に悪いけどな。

暴力をふるうのも、幼い少女をすきになる傾向があるのも必ず何か要因があるはずで、そこを見ずして他人を否定することはやっちゃダメだなと思った。
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