うろもとうとか

流浪の月のうろもとうとかのネタバレレビュー・内容・結末

流浪の月(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

更紗の幼少期、玉季氏だったのか
当時観た予告では現代の下りに気を取られて
全然存在を汲み逃してた
重要な回想とはいえ想定してたより
しっかり玉季氏の演技堪能出来て眼福です
桃李氏との解けていく絡み眼福です
少し曲がった平穏を経て
こういう未来が成されているのは
古傷が大事に至るとでもいうのか
互いにひとときの救いをもたらした文と更紗
同時に不幸ももたらしてしまったというなら
どう転んでも悲劇の惑星の下というしかない
やさしさはときに
どんな鋭利なナイフよりも
深く突き刺さって
ヒリヒリとあたたかく
相手の中に流れる旋律を感じる様
それと同時に
やっと自分の生を感じられる隙が生まれる様
亮も悲劇生まれの怪物だなんて
なんてやるせない痛の遺産
痛みには痛み
DでVな崩れた愛憎バランスには
まるで公式があるかのような
その型にハマった臆病な力に支配されてしまう
抜け出せないのは当人もそうなのだろう
ふたりだけにしか成し得なかった平穏
訪れる訳なかったはずの奇跡の出逢いが
誰の目にも希望として映らない
結局本当に文は
ロリータコンプレックスなのか
それを限りなくやさしさに変換できる
化身であるが故に
軽度な見え方になっているのか
大人の都合にそぐわない
それが作り上げる罪と罰のシステムは
ときにエラーだらけで誰も救われない
まるで血を吸いたくなる衝動を
殺して生きているvampireのような
その伏せた目に潜む葛藤に
締め付けられるのは
少し危険な兆候に感じつつも
お互いにお互いだけを許した上に
成り立つ、危うい平穏
それに魅せられたから
大いに、魅せられてしまったから