「キック・アス」「キングスマン」シリーズのマシュー・ヴォーン監督最新作。スタイリッシュな映像と音楽と独創的なアイデアで常識を覆してくれる彼の作品群は大好きだけど、やはりいずれの作品も1作目が神がかっている。
本作は如何に…!?
敏腕スパイのアーガイル(ヘンリー・カヴィル)が活躍する大人気小説「アーガイル」。その作者エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)の創り出した物語が実在するスパイ組織の活動とまさかの一致!?小説の続きを巡って追われる身となった彼女を救ったのは本物のスパイ、エイダン(サム・ロックウェル)だった—— 。
アーガイル柄を散りばめたオープニング演出から、もう既にお洒落。
インパクト絶大なヘンテコ角刈りカットのヘンリー・カヴィルに思わず笑みが。彼の相棒役にジョン・シナの姿も。
小説の中の物語と現実世界とを行きつ戻りつしながら展開していくストーリー。
スピーディーなアクションシーンの合間に、エリーが飼っているニャンコ"アルフィー"の可愛さに癒される。
二転三転いや四転?と目まぐるしく変わるどんでん返しの展開に驚かされる。
「キック・アス」で少女がド派手なアクションをキメてくれたり、「キングスマン」の教会大乱闘や花火の如く脳が爆発していくシーン等、マシュー・ヴォーンの持ち味はとにかく常識に囚われないブッ飛んだ発想と映像美。
本作でもカラフルな煙幕の中舞い踊るバトルシーンやオイルスケーティングアクションは、マシュー・ヴォーンらしさが炸裂していて好き。本作のテーマはダンスだな。
だが、しかしよ。
ブライスは流石にサイズオーバーで、むちむちぽっちゃりな体型が映る度に残念な気持ちに。
いや、恐らくスパイとは無縁な暮らしを送っている小説家なのだから、この方がリアルだという解釈なのかも知れないし、彼女なりの役作りなのかも知れない。いかにもスパイ"らしい"ヘンリー・カヴィルが空想の産物で、一見"らしくない"小柄なサム・ロックウェルが現実のスパイにキャスティングされているのも然り。
それでも、サム・ロックウェルがブライスをダンスリフトで持ち上げるシーンはきっとワイヤー無しでは無理だろうと、作品に没入しきれない雑念(ノイズ)を生み出してしまったのが残念。
「キングスマン」では不良少年が英国紳士に生まれ変わる訳で、何かをハズしたりズレさせる事で面白さを生み出すのもマシュー・ヴォーンらしさ、なのかも知れないけど。
音楽のセンスも抜群に良いのだが、THE BEATLESの「NOW & THEN」を私達の曲云々と懐かしむ描写は違和感しかない。
これ、ビートルズの新曲よ?