Jun潤

ミラベルと魔法だらけの家のJun潤のレビュー・感想・評価

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
3.6
2021.11.30

こちらも予告を見て気になった案件。
「ディア・エヴァン・ハンセン」に続きミュージカル2連チャン。

50年前、奇跡の蝋燭によってできた土地・エンカント。
その地にある不思議な魔法の家に住むマドリガル家。
その家に生まれた子供にはそれぞれ魔法のギフトが与えられていた。
その中で、唯一ギフトを与えられていない少女・ミラベル。
ミラベルは祖母や姉たちとの確執を抱えながら、元気一杯に暮らしていた。
そんな彼女が、突然巻き起こる家崩壊の危機に立ち上がる。

まず第一印象として、これまで冒険譚として展開する物語が多い印象だったディズニーにしては珍しく、家を中心に物語が展開されていたことですね。
しかしだからといって退屈な場面が続くわけでもなく、グリグリ動く作画や華やかさと子気味良さを持った魔法の描写で見応えは抜群でしたね。

今作で描かれていたのは家族の愛情、というよりも女性がそれぞれに持つ様々な強さだったのかなと感じました。
力がなければ強くいられないのか、長女として完璧な姿でい続けなければならないのか、守るべきは家か、家族か、そして、魔法がなくても強く生きていける人間自体の強さ。
色んな種類の人間の強さや弱さが描かれていたと思います。
個人的には、あれだけ魔法を推していたのに終盤の家の修繕を人の力のみで行っていたことが印象的でしたね。

作画についても、グリグリ動くだけでなく3DCGならではの豊かな表情に、飛び出してくるかのような迫力と立体感のある作画。
ここ最近のディズニー実写作品の完成度もあって、もはや二次元と三次元の壁があやふやになってきましたね。

ミュージカルとして見ると、序盤のテンション高めなものに始まり、曲によって現地語のまま字幕を出してくるこだわりっぷりに加え、突然歌い出す感じもディズニーらしさが出ていて良かったです。
ただやはりもう少し、アナ雪みたいな作品のイメージを強烈に表すような楽曲が欲しかったところ。
CMに使われていた楽曲は好きなんですけどね、、。

あとは姉や親族たちのキャラクターが強烈だったためか、一番動いていたはずのミラベルのキャラクターがいまいちハッキリしていなかったというか、先述の強さの描写がミラベルだけ弱かった気がしました。

あと一つ、ディズニー作品でヒロインの次に重要な王子に当たるポジションのキャラクターがいませんでした。
いつもの、いわゆるザ・王道ディズニーを期待している人には勧め辛いかもしれません…。

同時上映はアライグマの親子を描いた「ツリーから離れて」。
今作ともテーマが一致した家族の物語という感じで、セリフもなく鳴き声だけでしたが、子供の好奇心と、親の子を危険な目に遭わせたくないという気持ちが伝わってきました。
また、それがまたさらに息子へと繋がっていくというのも、留まることのない生命の大きな流れを感じられる、ショートムービーとは思えないほど重厚な作品でした。
Jun潤

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