Habby中野

美貌に罪ありのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

美貌に罪あり(1959年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

延々と続く田園風景にようやく台詞が差し込まれると着物姿の山本富士子と勝新、車降りると迎えるは花に囲まれた若尾文子様と川口浩、という冒頭でもう、惚れました。だいしゅき……。
そこに川崎敬三と野添ひとみが参加し恋の三角関係ならぬ運命の六角くらいの構図ができあがる。おイエと恋と自由と金と。良くも悪くも関係の縛りに翻弄される人間たち。人物設定も一見突飛なのに深みがある。脚本があまりにも美しい。
美しき蘭が枯れ、縛りの一端となっていた母杉村春子が泣く泣くイエを手放した時、ムラから解放された人々は自由に走り、また空を飛ぶ。しかしそのトーンがどうしても少し暗いところがこの映画の持つ一番の力だと思う。盆踊りのシーンとその前後数分の空気感、あれは一生忘れないだろうな。
美しさが罪なのは、それを保つことに縛られてしまうからだと蘭の花は言う。
しかし若尾文子の美しさと可憐さは本当に罪だよ〜。
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