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猿の惑星:創世記(ジェネシス)のRのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

車内で友人2人と。

2011年のアメリカの作品。

監督は「囚われた国家」のルパート・ワイアット。

あらすじ

製薬会社ジェネシス社に勤める神経学者のウィル(ジェームズ・フランコ「氷の国のスイフティ 北極危機一髪!」)はアルツハイマー治療用のウイルスベクター試験薬「ALZ112」を実験台の雌チンパンジー、ブライトアイズに投与し、劇的な成果を上げることに成功する。しかし、プレゼンテーションの最中、密かに身籠っていた小猿を守ろうと凶暴化し、射殺されてしまう。残された小猿に「シーザー」と名づけ、育ての親としてシーザーを育てることを決意したウィルだったがやがて、シーザーは母ブライトアイズを超える知能を見せ始める。

ディズニープラスにて、2度目。

友だちがどうしても観たいということで何回かに分けて再鑑賞。

やっぱ、おもしれー。

皆さん、ご存知1968年のカルト的SF大作「猿の惑星」の何度目かのリブート作品。俺自身恥ずかしながら、オリジナル版は観ていないんだけど、2001年のティム・バートン版だけは観たことがあって、ただ確かあちらは歴史的大コケして、批評家筋にもかなり叩かれた大爆死映画としての記憶も新しい。

そんな「猿の惑星」シリーズなんだけど、本作はその批判を受けて、かなり正統派なリブートとしての「ビギニング」となっている。

お話はオリジナル版は猿が支配する世界観だったのに対して、今作ではまだ普通に人間たちがこの世界に君臨する僕たちと同じ世界であり、猿たちは動物園の見せ物だったり、それこそ今作の製薬会社のような実験動物でしかない。

ただ、そんな中で、生まれるのが後々のシリーズで主人公となるシーザー。

まぁ、このシーザーが神童ならぬ神猿で、デフォルトで頭が良い。だから、ウィルに育てられていく過程で、メキメキとその才覚を発揮して、ウィルたちを驚かせる。またその中で育ての親であるウィルや獣医のキャロライン(フリーダ・ピントー「イントルージョン 侵入」)やウィルの父親のチャールズ(ジョン・リスゴー「スキャンダル」)とも絆を深めていく。

中でもウィルとはまるで実の親子のように仲睦まじい。だからこそ、後半のシーザーのある心境の変化にはこころが痛むのだが。

だんだんと体が大きくなって、ほとんど成人男性くらいの身長になったシーザーはウィルたち人間と生活していく中で、どんどん人間らしくなっていく。ただ、体が大きくなって人間の服を着て二足歩行で歩いているのに首にはしっかりとチェーンで繋がれている違和感。

なんだろう、無意識の差別意識を感じさせる。

そして、ウィルと決定的な亀裂に陥るのが霊長類保護施設のシーン。そこに入れられるきっかけとなる「ある事件」もお父さんを守ろうとしての行動だろうに、シーザーがとってもかわいそうなんだけど、その後、保護施設とは名前だけで、裏側は劣悪な環境下でまるで収容所みたいなところでシーザーは遂に人類に逆襲することを決意する。

で、その変貌なんだけど、それまでは僕たちがイメージするチンパンジーの無垢な表情から、壁に描いた自宅の印象的な窓の絵を消した瞬間、非常に険しい顔立ちに変わる。

そう、これから支配する側としての顔立ちになっていくんだなぁ…。

で、そっからは「ALZ112」を散布して知能指数が上がった猿たちを従えて保護施設を脱走するんだけど、それまで猿たちをいじめていた「ハリー・ポッター」のマルフォイ役でお馴染みのトム・フェルトン(「スヘルデの戦い」また、こいつがいい意味でものすっごいムカつく演技してくれるんだよなぁ!)を手にかけ、いよいよ後に戻れなくなる。

しかも、そん時はじめて薬の影響でなんと人間の言葉を話すんだけど、そのフレーズが「やめろ!」ってのもなんか印象的。

いよいよ、保護施設を脱走した後はそれまで虐げられてきた猿たちの復讐ターンに入るわけなんだけど、シーザー以外の猿たちも魅力的。

オラウータンのモーリスは「森の賢人」と呼ばれているだけあって、図体は後述のバックよろしく畏怖すら感じさせるデカさなんだけど、穏やかで収容される前はサーカスで働いていたこともあり、知能指数も投与前から高め。シーザーとも積極的にコミュニケーションを図るなど、右腕としての立ち回りで存在感を発揮するし、ゴリラのバックはモーリスと反対にゴリラらしい荒々しさでのアクションシークエンスが最高。そして、最後は凶弾に倒れてしまうんだけど、それ含めていいキャラクターだったなぁ。

そんな2匹がシーザーを中央に両端で並ぶと「両雄並び立つ」そのままで絵的にもすごいケレン味があってカッコよかった。

他にも小物臭があるロケットだったり、より存在感を発揮するのは次作ながら今作でも不気味な行動をとるコバなど、やはり作り手も猿側に焦点を当ててキャラクターを描いていることが窺える。

ラストは、ある程度人間側に被害を出しつつ、他の猿たちを従えて、帰るべき場所である森に帰還するんだけど、絆を育んでいたウィルとの最後の別れは、この時だけはウィルという「人間」に対しての愛情みたいなものが伺えて、やっぱちょっとグッときてしまった。

ただ、人間側も人体に多大な影響をもたらす「ALZ」の影響で、感染拡大が始まる「布石」を含ませつつ、終わるわけなんだけど、きっとこれがオリジナルの「猿の惑星」へ繋がる感じなんかな。

いやぁ、改めて観たけどやっぱおもしれーなぁ。
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