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グレタ ひとりぼっちの挑戦のKUBOのレビュー・感想・評価

3.8
今日は『グレタ ひとりぼっちの挑戦』をFan's Voice独占〈最速〉劇場試写会にて鑑賞。

15歳の少女が地球温暖化への危機を訴える。あのグレタ・トゥーンベリさんを追ったドキュメンタリー作品。

最初に注目を集めた2018年の「学校ストライキ」のシーンから全て映像で記録されているのは、配信で映像が身近になった今だからこそなんだろうな。

グレタさんの訴える「環境問題」をわかりやすくまとめたような映画じゃない。作品は「グレタさん」自身にフォーカスして、彼女を決してヒロインとだけ描いてはいない。

国会議事堂前で「環境問題」を訴えて学校ストライキを行なっているグレタさんは早い時期からマスコミに取り上げられ、アーノルド・シュワルツネガーがリツイートしたことで全世界で知られるようになる。

国連や各国の環境活動の会議などに招かれて、大人顔負けのスピーチをするグレタさんはまるで環境問題のアイドルのようにもてはやされる。いっしょに写メを撮ってもらおうとするセレブや、彼女のスピーチをありがたがって拍手する議員たち。なにか歪だ。

彼女のスピーチは大人を挑発するような、遠慮ないどころか、攻撃するような言葉をあえて選んで使っている。「親が書いているんだろう」という心ない誹謗中傷があるようだが、作品内ではグレタさん本人がスピーチ原稿を書いているシーンも出てくる。このスピーチを15歳の少女が書けるのか? 書くのか? 普段やはり15歳の中3を教えている私には俄には信じられない。

そして、大人たちにもてはやされる中で、グレタさんが孤独に見えてたまらなかった。グレタさんには友達がいるのかな? グレタさんは何して遊んでるんだろう? 子供らしい生活ってあるんだろうか? 私が教師だから余計そんな風に考えてしまうのかもしれないが、心配になってしまった。

グレタさんは環境に悪いから飛行機には乗らない。国連気候変動サミット出席のためにヨットで大西洋を渡ってニューヨークへ行ったシーンにはびっくりしたが、こんなこと、いくら理想のためとはいえ、誰にでもできることではない。

私は飛行機には乗るし、車はまだガソリン車だし、ペットボトルも毎日買ってる。グレタさんには絶対怒られちゃう大人の代表みたいだけど、今度車を買い替える時には電気自動車にしようかな。見終わって、それくらいのことは考えた。

日本でも毎年水害や土砂崩れなど気候変動による自然災害が多発するようになった。グレタさんの言う「第6の絶滅期」にこのままでは突き進んでしまうのかもしれない。環境問題は経済活動と大きく関わっているので、既存の既得権益を守る立場の政治家には変えられない。だからこそ、グレタさんのどこにも忖度のない言葉は大人たちに刺さるのだが、目の前の利益から、大きな視野でこれからの地球環境を考えられる政治家が出てくるのだろうか? 

少なくともみんなが少しでも環境問題について考えるきっかけになる作品だ。

@fansvoicejp
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