根岸

ブレードランナー ファイナル・カットの根岸のレビュー・感想・評価

3.5
ロイがデッカードを助けたのは、自分のことを覚えててほしかったからだと思った。最後に自分が見てきたもののことを話して、思い出は雨の中の涙のように(Like tears in rain)消えてしまうけど、せめてお前は覚えておけ、と。
そして台詞の通り、ロイの涙もデッカードの涙も、雨の中に消えていく……
実際は「特に理由もなく助けた」という方がしっくりくる気がする。タイレル博士を殺害したときのように、感情の高まり、つまり衝動が彼を動かしたのではないか。その衝動の奥にあったのが(彼自身が意識していたかどうかはわからないが)覚えていてほしい、という望みだったのではないかと思う。
飛び去る鳩の映像も印象的。あの鳩が本物だとしたら、ロイはレプリカントだったかもしれないが魂は生き物となったのだと言えるし、複製の鳩だとしたら、限られた命だとしても自由を求める彼らの心を表していると言える。
忘れられないシーンになりました。
根岸

根岸