ブタブタ

ブレードランナー ファイナル・カットのブタブタのレビュー・感想・評価

5.0
ブレードランナーに関しては分厚い研究書が出る程様々な人達が語り尽くしているので今更何も言う事は無いのですが、DVD-BOXに付いている大量のカットされたシーンや追加シーン、研究書等読むと原作『アンドロイドは電気羊を夢を見るか?』のその哲学的な難解なテーマに比べて『ブレードランナー』は地球に戻ったレプリカントを狩る特殊捜査官と言うその一点に重きを置いた非常にわかり易くシンプルにストーリーは作られており、それが逆にファンに深読みされたり色々な考察が入り込む余地を生んでいる様な気がします。

~『ブレードランナー2』について~
制作が決まった『2』ですがロイ・バッティーを演じたルトガー・ハウアーは「完璧にカットされたダイヤモンドに何故手を加える必要があるんだ?」と語ったそうですが、確かにブレードランナーは作品の完成度もラストも完璧に終わっており続編をつくる事など蛇足でしか無いと思うのですが原作『アンドロイドは~』と『BR』はストーリーは同じながら内容的には全く別の作品と言っていいので『BR2』は続編と言うより別のアプローチ、PKディックの別の作品を元ネタにした映画化になるのではと(勝手に)予想しています。
ロイの最後の台詞
「お前たち人間には信じられない光景を俺は見てきた
オリオン座の肩の近くで炎を上げる戦艦・・・
暗黒に沈むタンホイザーゲートのそばで瞬くCビーム…
そんな記憶もみな、時とともに消えてしまう
雨の中で流す涙のように
俺も死ぬときがきた」
この名シーンの名セリフ、ルトガー・ハウアーのアドリブだと後で知り驚いたのですがハウアー氏はディック作品のファンなのか?アンドロイド~以外の作品も読み込んで撮影に挑んだのか?それは解りませんが、この台詞とオープニングのナレーションに見られるレプリカントは危険な外宇宙の探検、奴隷労働、星間戦争の兵士として使われている。
ディック作品にも外宇宙でのアンドロイドによる人類の代理戦争、異星人との戦争、超能力者達による戦争が頻繁に登場します。

確か映画公開時のTV・CMのコピーが「レプリカント軍団、人類に宣戦布告!」だったのですが昨今の嘘宣伝ではないですが実際見てみると、雨が降り続く陰鬱な未来のロスアンゼルスで派手なアクションは数カットのみ最後のロイとの対決もデッカードはひたすら逃げ回るだけ、その派手なコピーとは程遠い内容でこの辺りも公開時にヒットしなかった理由の様にも思います。

『BR2』は純粋な続編と言うより『アンドロイドは~』と同テーマを持つ例えば『ユービック』『火星のタイムスリップ』等様々なディック作品を抜粋し再構成した物になると(勝手に)予想しています。
ディック作品の重要なテーマであるアイデンティティの揺らぎ、自分は人間なのかアンドロイドなのか?この世界は本物なのかと言った多層世界や模造記憶が更にストーリーに絡んでくるのでは。
兎に角ネタは大量にあるのでロイの台詞にある外宇宙での戦争≒映画公開時の嘘コピー「レプリカント軍団、人類に宣戦布告!」的な世界観や超能力者・反能力者達の戦い、また近年ハリウッド映画には欠かせない存在になっている「中国」の描写、『BR』では奇妙な日本語が街に溢れていましたが『BR2』ではこれが更に進んで奇妙な中華都市が出現するのではないでしょうか。
『高い城の男』は第二次世界大戦が枢軸軍が勝利したパラレルワールドを描いた作品で「易経」が重要なアイテムとして登場するのですが『BR2』でも中国(人)が重要な役回りで登場すれば易経を使った、例えば『BR』の写真を3D解析できる「エスパー」と言う機械がありますが、このエスパーと易経が組合せた空間だけでなく過去や未来迄分析出来る新システム等も登場するかも知れません。
以上です(・∀・)ゞ
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