maro

ブレードランナー ファイナル・カットのmaroのレビュー・感想・評価

4.0
「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:3/9
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

「午前十時の映画祭12」にて。
2007年のアメリカ映画。
1982年に公開された『ブレードランナー』をリドリー・スコット監督本人が再構築した完全版。

世界観がすごくいい映画だよね。
簡単に言ってしまえば、ロボットの反乱的な話でしかないんだけど。
このレプリカントたちの運命がただただ悲しいなって。
感情が芽生えて反旗を翻すことを防ぐため、4年の寿命が設定されてるんだよ。
何とか寿命を延ばそうと、はるばる地球にやってきたのに。

個人的に、この映画で素晴らしいなと思ったところが2つあって。
ひとつは世界観。
今でこそサイバーパンクを舞台にした作品は多いけど、その走りになったんじゃないかこれは。
未来と言えば、『ドラえもん』に出てくる22世紀の街並みのようなクリーンな感じが主流だった当時、環境汚染によって暗く汚い、でもテクノロジーは発達しているっていう街並みは画期的だったそう。
レトロとハイテクが混在した世界観にはロマンを感じるよ。
まあ、作品の舞台となった2019年は今から3年前ってことになるけど、こんな街はいまだ実現してないけどね(笑)

もうひとつは、「人間とは何か」っていう問題提起。
人間を生物学的な構成物(例えば心臓があって血管があって)から定義するなら、レプリカントは人間とは言えない。
でも、言語を操るとかコミュニティを作るとか、そういう社会的な面から定義するなら、人間と呼んでも間違いではない気もする。

レプリカントって見た目は人間と同じで知性と身体能力はそれ以上。
で、作られてから数年経つと感情も持つ。
ロボットのように与えられた命令にしか従えないということはなく、自らの意志で動くことができる。
わざわざ赤ちゃんを産んで育てるより、レプリカントの方がコスパよくない?
なのに、人間側が管理できるように4年で寿命が尽きるように作っちゃう。
合理的な判断ではなく、あくまでも自分たちを頂点におきたいっていう人間のエゴでは。。。
唯一、レプリカントは生殖機能を持たないっていうのがあるけど、これは続編の『ブレードランナー2049』(2017)で実現してしまっているから、もはや人間との差別化がますます難しくなってる(笑)

レプリカントたちの何と悲しい運命よ。
ただ単に「もっと長く生きたい」、そう望んだだけなのに。
生あるものとして当然の願いを持っただけなのに。
技術的に不可能と言われ、処分の対象とされ。
ラストのロイ(ルドガー・ハウアー)のシーンがすごく印象的だよ。
「お前ら人間には信じられぬものを見てきた。そういう思い出もやがて消える。涙のように」と言って事切れるから。

そんなわけで、サイバーパンクな世界観が好きな人にはオススメな映画。
若き日のハリソン・フォードもルトガー・ハウアーも渋くてかっこいい!

(2022.7.9追記)
maro

maro