Kuuta

カード・カウンターのKuutaのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
3.9
「アメリカの罪」がついて回る男。既に出たカード=過去という縛りを意識しながら、勝率を計算するカードカウンティングで生計を立てている。

アブグレイブ刑務所のイメージは、誰もいない軍人刑務所から、昼夜の区別のないカジノ、安っぽいイルミネーションへと繋がっていく。ハリボテの人工国家を彷徨う悪夢のような撮影が素晴らしい。

寝られない→徘徊→酒飲んで日記という「田舎司祭の日記」以来の鉄板コンボを決めつつ、ウジウジした男が急にやる気になって暴力を振るうという、ポールシュレイダーお馴染みの展開を辿る。カードの世界から抜け出そうと扉を開け放つ。

「魂のゆくえ」の頭でっかちな宗教家も魅力的だったが、とりあえず車を走らせてカジノに向かう今作の主人公も、全く目が離せなかった。中盤の手を繋ぐ場面のぎこちなさが笑ってしまうほど意地悪くて愛らしい。78点。
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