ツクヨミ

LAMB/ラムのツクヨミのネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

北欧の大自然美ショットの中に蠢く奇妙なる不気味さ。
山間にある小さな家畜小屋で羊を育てている夫婦は仲睦まじくゆったりと暮らしていたが、奇妙な羊が生まれてから彼らの生活に変化が生じ…
異形なる生物に絶妙シュールな雰囲気が見えるヘンテコミステリー。謎に満ち満ちた動物系ホラーで慎ましく話題になっていた本作、いざ鑑賞してみると本当にミニマムながら変な不気味さがご気味いい珍作である意味楽しめた。
まずオープニング、荒れ狂う吹雪の中へゆっくりとズームインするとポニーの群れが佇んでいるショットからスタート。しかし謎の鼻息が響く不気味感がめちゃくちゃ奇妙、すると"GUNDA/グンダ"で見たような家畜小屋の群れる羊のショット→外から家の住人を眺めるようなショットがめちゃくちゃシンメトリックで美意識高めなのが良い。だがそこでも執拗に聞こえる謎の鼻息の不気味さで、独特の雰囲気がかなり好印象だった。
そして本編が始まると普通な家畜小屋の生活が見えてくるが、まさに静謐なドキュメンタリーのような描写が永続されている。そこでBGMと見る夫婦の表情だけでわかる異様な存在により雰囲気は一変、あえて大事なところは見せない演出が特異ながら奇妙な生活の変化がけっこうシュールで面白おかしい。そして唐突にやってくる旦那の弟、シュールさが加速する笑いとNTRを予期させる行動でめちゃくちゃ雰囲気が掻き乱されるのが一周回って面白い。
またラストの潔さというか呆気なさは匂わせの肩透かし感もあるが、不気味さと異様さを最後まで感じさせるのが個人的に意外と好きだったりする。頭が羊で体は人間の羊人間…周期的にカッコウみたいな生態なんだろうかと考察してみるとちょっと面白い。全体的に自然の美ショットが1番の魅力だが、変な不気味感が最後まであるヘンテコさが実は嫌いじゃない印象を受けた。
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