ほーこんそん

LAMB/ラムのほーこんそんのネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

なんだかよくわからなかった、というのが見た直後の正直な感想。あれで終わりかいな、という。まあ、この手の映画は自分の知識とか教養をフル動員しつつ、ネット世界の考察班の知恵を借りるのがいいんだろう。アイスランドだから北欧神話、と思いきや、羊人間はギリシャ由来とのこと。羊自体が聖書におけるイエスや信徒を意味しているわけだし、一つとは言わず複数の含意があるはず。

はじめは不気味で仕方ないけれど、見ているうちにだんだんと可愛くなってくるアダちゃん。それでも、彼女(?)は人間ではないのだろう。詩にもサッカーにも興味を持たず、どこか寂しそうに羊小屋を眺めるアダちゃんは、やはり大自然の側にいる存在だと言わざるを得ない。個人的に気になったのが、イングヴァルとアダちゃんの別れの場面。イングヴァルが掴んでいるアダちゃんの(おそらく)右手は、羊の蹄の様になっていた(違ったらごめんなさい)。人間の手のひらと羊の蹄では、指を絡めたり、互いに握り合うことはできない。人間の側が、一方的に掴んでいるだけだ。羊人間にアダちゃんを連れていかれないよう、懸命に蹄をつかむ父親の姿は、自然の中にあるべきものを無理やりに引き止めようとするエゴの表れのように思えた。愛する娘を想う気持ちを「エゴ」と言い切ってしまうのは、あまりにむごい気もするけれど。