このレビューはネタバレを含みます
以前から気になっていた「ちいさな独裁者」やっと見ることができました。
タイトルや予告からは軍服を盗んだヘロルト上等兵が好き勝手するのかと思っていましたが、どうやら少し違う様子。
ヘロルトは狡猾な小悪党にすぎませんが、人々は彼の肩書きに自らの願望を投影します。そしてヘロルトもまた、彼らの願望に応えることで「ちいさな独裁者」となっていく。独裁者が生まれる時、そこには必ず共犯者ともいうべき人々がいるのでしょう。
現代の街並みを我が物顔で闊歩するヘロルト一派の姿は、こうした独裁者が再び現れうることを暗示しているかのよう。「帰ってきたヒトラー」のようなカリスマでなくとも、人はいとも簡単に独裁者になることができるのです。考えさせられる作品でした。