特濃ミルク

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲の特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 クレヨンしんちゃんだと思って舐めてました。もちろんこの作品はまず第一に、しんちゃんと同じくらいの年の子どもたちが楽しめるように出来ている。特におしりやおなら、足の臭いなどを絡めたギャグは子どもの大好物だろう。自分なんかは大きくなっても未だに人の屁や足の臭いで笑ってしまうことがある。精神年齢は永遠の5歳児だ。そういう大人ならギャグパートも楽しめるのではないか。さすがに腹抱えて笑うことはなかったが。
 さて、そのような子どもが楽しむものという前提がありつつも、これは大人の鑑賞にも充分耐えうるクオリティに仕上がっている。なぜなら扱うテーマが大人のもの、つまり過ぎ去った時代(高度経済成長期)への懐古と現在(21世紀の幕開け)の行き詰まりへの不満だからだ。実際にその時代の空気感を経験していない人でも、青春時代への懐古、先行きへの不安というありふれた心理状態さえ経験していれば、誰でも共感できるはずだ。特に自殺者数が急増し始めた世紀末以降にはクリティカルヒットしているのではないか。とにかく幅広い層に訴えかける力を持っていると思う。
 ベストシーンはやはりしんちゃんの全力疾走。あそこはエレベーターとの対比になっているのが良いね。その後息切らしながら未来への希望を叫ぶ所も泥臭くてかっこいい。
「大人になりたい。大人になって綺麗な人とデートしてみたい!」
 結局、生きる意味なんてそんな感じでいいよね。21世紀も子どもたちが希望に溢れ、希望そのものであり続けて欲しいものだ。
 
 
 
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