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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のtyapiokaのレビュー・感想・評価

4.4
2020.09.12
懐かしいってそんなにいいことなのかな。出だしの万博からのウルトラマンは懐かしさと寒々しさで、楽しいアクションの中に一握りの不穏さがある。そこからのノスタルジックさ、懐メロ、車、町並みに昭和生まれでなくとも戻りたさを覚える。しかし、両親が一変するところで完全に子どもは疎外され、見ているこちらも置いてかれる。車が人々を回収していくのは明るいのに怖い。そこからの夜も怖い。敵に明確な目的があり、完全に悪でもないのがよい。春日部防衛隊パートと野原一家活躍パートがあるのもよい。特にバスのシーンは子どもらの個性が出ており、タワーのシーンは家族の絆が出ていた。しんのすけが階段を駆け上がるだけなのに何度見ても痺れる。ひろしの回想は子供の頃より、社会人になってからの方がじんわりくるため、家族を持ったらさらにじーん来そう。BGMも盛り上げてくれる。あまり注目されないが、敵の台詞がお洒落。決着のつけ方も野原家を見ていた人々が21世紀を生きたくなった、という抜群の納得感。夕日町、21世紀博の美術設定も惚れ惚れする。
2020.09.13
注意深く見ると対比を巧みに駆使していた。大きなところでいえば大人と子どもだが、まだまだたくさんあった。子どもであるひまわりを振り払うみさえの足が、ひまわりを助けしんのすけも助ける足になる。夕日町には子どもがひとりもおらず、残された春日部は大人が一人もいない。野原家には子どもがいるが、敵は子どもはおろか結婚すらしていない。ヒロシの「家族がいる幸せをアンタたちにも分けてやりたいくらいだぜ」という台詞に明確な怒りの表情をケンが見せたのは懐かしさを求めるあまり、未来とも言える子どものいない現実を突きつけられたからだろうか。だとすると、意外に重いシーンだ。敵の自殺を踏みとどませるのが子育てをしている親鳥というのも、大人と子ども、未来と過去の対峙を印象づける。大人たちが消えたあと灯りが消えるシーンで21世紀が奪われたことを表現し、家族が家に戻り灯りがつく場面で21世紀を取り戻したことを表し終わるのは上手い。
また、考察が今現在色々出ておりそれを読むのも面白い。
2023.07.09
段々とラストの階段シーンより、ひろしの回想に心を揺さぶられるようになった。オトナメーター。音楽の選曲◎。
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