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裸足で鳴らしてみせろのdarumaのレビュー・感想・評価

裸足で鳴らしてみせろ(2021年製作の映画)
3.9
高崎映画祭で新進監督賞と新進俳優賞を受賞されており、WOWOWの若手監督特集で鑑賞。という事前知識がちょっとハードルを上げすぎていたせいか、期待値ほどではありませんでしたが、よかったです。

個人的な印象としては、
 邦画版・ようこそ映画音響の世界へ
です。
そういう意味では、めっちゃいいです!
音好きにはたまらない…
映画の音ではないんですが、録音シーンがたくさん出てきます。

本作はPFFスカラシップ?の作品なのですが(つまり若手映画制作者が協賛を受けて製作している。で合ってるかな…?)、そういう感じが凄く出ていたと思います。サウンド面に関しても、映画好きが撮った作品ぽい。

高崎映画祭の授賞式を中継で観ており若い男性二人が俳優賞で、二人のシーンが難しかった様な事をおっしゃっていたので、BL…?と思って観始めました。実際、BL?(なのかな?)みたいな雰囲気ではありますが、想像していたような、いわゆるそういう感じとはちょっと違いました。それがフィルマの高評価に繋がってるのかな…?
その部分に関しては、何となく、ですが、いかにも女性監督という印象を受けました。(偏見だったらすみません)

でも、この映画が受賞した理由は、たぶん他にあると思っていて。
かなり社会派な側面を抱えています。

甲本雅裕さんがかなーり嫌な役です。
(なんか私が観る作品、彼はいつもこういう役回りを演じてる気がする…苦笑)
同世代(よりはちょっと上か?←調べた)なのに、そう思ってしまった。
分かるけど…
わかるけど、こういう人が一番嫌だ。(ごめん)

誰の為に縛られているのか。

風吹ジュンさんは圧倒的。
(ある意味彼女もそうだが、そうでないと思わせる所が圧倒的)

メインの若手お二人は全く存じ上げなかったのですが、
槇を演じた諏訪珠理さん、結構好きかも。
メインの直己を演じた佐々木詩音さんのほうがシュッと系、諏訪さんはそれよりもちょっと愛くるしい系かな、という感じです。

(今、諏訪さんの御所属を見て納得してしまった…!私の好きな所だった。映画公開より後に所属されてた。「まなみ100%」に出られてるんですね!めっちゃ楽しみです)

佐々木さんは工藤監督の同級生みたいですね。うんうん、納得。
本作は製作にホリプロが入ってたんですが、過去のPFFでホリプロ賞をいただいた事がある方みたいです。これまた納得。

最後がちょっとやっつけみたいな感じになってしまって、個人的にはそこが残念でしたが、確かに!ふたりの組み合うシーンは何ていうか、まさにエモかった。(そういうシーンではないです。ですが、そういうシーンを超えた、まさに人と人とのぶつかり合い(本当に字のまんまなんですが)が、言いたい事を表現してるなぁと思いました)

「実体に触れないと実在感が無い」みたいな台詞があったと思うんですが、あれを地で行ってるのが凄く伝わりました。
若さゆえの、とも言える。

偶然かもですが、私の好きな作品のオマージュっぽいシーンが2つもあって、この監督さんも観たのかな?と思っちゃいました。
(森山中教習所と、親密さ(もしくはTHE DEPTHS)。どんなシーンかはネタバレになっちゃうと思うので伏せますが、観た人にはわかると思う。でも、まあ、よくあるシーンと言えばそうなのかもですが…)
その2つもエモかったです。

追記)工藤梨穂監督は青山真治監督の教え子なのですね…!感想読んで知りました(濱口監督系じゃなかった)。なるほど。
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